みねおとトラ
[みねおとトラ]
トラはみねおが拾ってきた猫です。
トラは、みねおを命の恩人と思っているのか、みねおが大好き!
みねおはすごく可愛がってるけど、たたくこともあるし、扱い方はどちらかというと荒い。
なのにトラは一番みねおが大好きでした。
お産のときも、みねおに助けを求めみねおの方をむいて「ニャーニャー」
みねおも「がんばれ!がんばれ!」私達を見てもみねおを探すしまつ。
寝るときはみねおと母の間に、「川の字」で寝てました。
そんなトラが腎臓を患い、おしっこも自分でできなくなりました。
お医者さんも、もう長くないと説明を受けていましたが、トラは頑張ってました。
その頃、私は一人暮らしをして実家にはいませんでした。
ある日私は大風邪をひいて大熱をだして寝てました。
「そういえば、今日は妹の結納前の顔合わせだなあ」なんて思いながら寝てました。
そう、この日は妹の結婚に際しての両家両親の顔合わせ。
そんなことを考えながら、熱と戦っていると電話がなった。
電話を取ると母。そして、私が電話に出たとわかるいなや、みねおが受話器をひったくったように
みねおが「おい!トラの具合が悪いき、帰ってトラを見よれ!」
私も行ってやりたいのもやまやまだけど、なんせ動けない。
「私も熱があって動けん」と言うと全部聞くか聞かないかのところで
「あほ~~!!おまえとトラとどっちが大事な!!今から婿を迎えに行かすき帰ってこい」
「ガチャン!!ツーツーツー」「????」何?あれ??どっちが大事??はて??
怒る気にもなれず寝ていると一時間くらいして、妹の旦那になる予定の私の友達が来た。
「ごめんやけど帰ってきて。お前が帰らんと行かんってみねさんが言うき」
(妹の旦那は、妹と仲良くなる前にうちの両親と仲良くなっていたので、名前で呼んでます)
パジャマのまま、何も持たずに車に乗り込み、実家へ付くとみねおがトラのそばで
「頑張れよ」と撫でていた。その姿は今からめでたい席へ出発できるような感じではない。
トラもかなり辛そうで、みねおの心配もわかるような感じ。
トラに「みねおが帰るまでみなと頑張ろうね」とさすっていると
「ちゃんと見よれよ。目を離すな!お前はどうでもえい!トラじゃ!!」「??」
そうして準備にかかるけど、見ては着替え、見ては着替えで進まない。
トラと一緒に寝ていた私にもわかる程呼吸が弱くなってきた。
みねおを呼ぶと、私が呼んだ中では一番早く飛んできた。
みねおは着替えもすませ、もう出発できる状態だった。
トラはそれをわかっていたかのように呼吸がどんどん弱くなっていく。
みねおは大泣きしながら「もうえい!よう頑張った!お疲れさん!ゆっくり休め!ありがとう!」
そしてトラは家族みんなに看取られて天国へと旅立ちました。
しばらく皆で泣いて、みねおは本当は顔合わせ開始の時間になってようやく
母の声に促され出発しました。「トラが寂しいき、お前は側におれよ」と言いながら・・
そのあとの顔合わせはみねおのトラ話で終わりましたとさ!!
しかし、そのあと私にな~~んにも言ってくれないし、帰ってくるやいなや「もう帰ってえいぞ」
おい!用済みになったら帰れか!他になんかないんかい!!熱のせいで怒れなかった。
でも結果トラの最後に立ち会えたからま、いっか!!